紅蓮の牙

二次創作中心。仮面ライダーキバと灼眼のシャナのクロスを連載中。

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第二十四話・超新星/帰還のエンペラーゴールド.前篇


「ほいさっと!」


炎の衣『トーガ』に身を包んだマージョリーの剛腕が、ファンガイアの軍勢を叩き潰す。
やはり、この再生態は相手ではないが――


「死者を生み出すペース、段々上がってきてるわね」
「あくまでも、僕達と奏夜達の合流をさし止めるつもりだろう」


サガがジャコーダーを振るい、キバーラがサーベルで敵を斬りつけつつ、城に鎮座するイルヤンカを見上げた。


「早く行かなきゃいけないのに……。いくら士くんやユウスケでもあんな龍を相手にしてたら……きゃっ!?」


突如巻き起こった衝撃に、キバーラのみならず、全員が一瞬怯む。
地上に待機していたイルヤンカが飛翔したことに伴い、巻き起こされた爆風だ。
その巨体の背中では、時折紅蓮とマゼンダの光が視認できる。


「名護さん、シャナ達が……」
「ああ、見えているよ。――これは出し惜しみしている場合ではなさそうだな」


悠二の傍でファンガイアを蹴散らしていたイクサは、仮面の口元からイクサライザーを取り外し、コードを入力していく。


【1.9.3.ラ・イ・ジ・ン・グ】
【ENTER】


アーマー胸部のコロナコアと頭部のクロスシールドが展開し、装甲の一部が弾け飛ぶ。ガーディアンコバルトの鮮やかな青がイクサを覆い、ライジングイクサへの変身が完了した。


「死者達よ、その命、今一度神に返しなさい!」


イクサライザーから放たれるオレンジのエネルギー弾が、ファンガイアを打ち抜いていく。
マージョリー、ライジングイクサ、サガ、キバーラ。火力は十分のはずだが、全てを殲滅するとなれば、時間がかかるだろう。
それまで奏夜達があの龍を落とすか、持ちこたえてくれればいいが、戦いに絶対はない。


早期決着は全員が望むところだった。


「どうやら苦戦してるみたいだね」
「!」


涼やかな声と、後方で煌めくシアンの光弾。
その影は軍勢の一角を撃ち抜きながら、凄まじいスピードで5人の前に現れた。


「大樹さん!」
「海東さん!」
「やあ、夏メロンにミステス君」


声を揃えた悠二とキバーラに片手を挙げ、ディエンドは振り向き様にディエンドライバーの引き金をひく。


「海東さん、何でここに……?」
「愚問だね。僕の行動理由はお宝だけ……と言いたいところだが、今回はそれだけじゃないかな。――ほら、これを受け取りたまえ」


ディエンドは握り拳を解き、何かを悠二の掌に落とす。
悠二が目を落とすと、そこにはゴールドカラーのフエッスルが光っていた。




「これって、先生が使ってる笛ですか?」
「ああ、魔皇竜を呼び出すための起動キーさ」
「魔皇竜……って、まさか!?」


ディエンドが奪った、奏夜の友達の名前ではないか。
口を開きかけた悠二だったが、ディエンドは「おっと」と言葉を遮る。


「勘違いするなよ。今はレティシアの持ってる『死者の書』――あっちの方が貴重なお宝だと思っただけさ」


さすがにそれが建て前だということは分かったが、それを口に出すほど、悠二は野暮ではなかった。


「それと、こっちは士に渡してくれ」


ディエンドがベルトのケースから一枚のカードを悠二に手渡す。
絵柄には、悠二も見たことがない姿のキバと、弓のような武器が描かれていた。


「FINAL.ARM.RIDE……なんですかこのカード?」


「士に渡してくれれば分かるよ。あのキバをファイナルアームライドさせるには、このカードじゃなきゃダメなんだ。
――紅奏夜は、オリジナルの『残像』だからね」
「……?」


一瞬、悠二はディエンドの口調に引っかかるものを感じたが、切迫した状況に、その思考は直ぐに埋没してしまった。


「ま、とにかく、僕はこの屍達を片付けるから、キミはそれを士とキバに届けてくれたまえ」
「いや、届けろって言われても……」


困惑した悠二は上空を仰ぐ。
どうしろと言うのだろうか。
例え悠二が百人肩車しても、これを届ける為に必要な高さには足りない。


「世話が焼けるねぇ……夏メロン、ミステス君を二人のとこまで送ってくれ」
「だから! 私は夏メロンでも夏みかんでもなくて夏海です!」


いつになったら覚えてくれるのだろうか。


「それに大樹さん、二人の所になら私が一人でも行けますよ。……あんな場所に悠二くんを連れてくのは危ないです」
「いや、ここは彼が行かなきゃダメだ」


ディエンドは有無を言わせぬ雰囲気のまま、悠二に向き直る。


「『炎髪灼眼の討ち手』やあのキバがキの言う“仲間”なら、そのくらいはやってみせてくれ」
「!」


挑発。いや、試されている。
悠二は本能的にそれを感じ取った。
海東に仲間の意味を説いたのは悠二。
ならば、身を持ってその意味を証明すべきなのも悠二だ。


「はい!」


首肯し、悠二はキバーラに頼み込む。


「お願いします夏海さん、僕を上まで運んで下さい!」
「――分かりました。悠二君本人がそう言うなら」


悠二の眼光に並々ならぬものを見て取り、キバーラも彼の願いを承諾した。
片手で悠二を抱き留めるように支え(情けない体勢ではあるが、バランスの関係上仕方ない)、紫色に輝く両翼を生やすと、キバーラはイルヤンカ目指して飛翔していく。


「ま、あとは彼次第か。――さて、こっちもさっさと片付けちゃうかな」


二人を見送り、ディエンドは仮面の下で不敵に笑った。


◆◆◆


「落ーーちーーる――!」
「この高さはシャレにならねぇな」


キバの絶叫とディケイドの舌打ちが重なる。
――悠二達が贈り物を届けるべき4人は、現在空を絶賛落下中であった。


戦闘開始直後、レティシアは四対一の戦いを最初から不利とみたのか、イルヤンカを操り、両翼を羽ばたかせる。


その巨体にそぐわぬ速さで龍は飛翔し、背中に乗っていたキバ、ディケイド、シャナ、クウガは空中に放り出されていた(レティシア当人は、愛剣であるクレイモアを突き刺し、踏みとどまっていたが)。


「くっ!」


シャナは紅蓮の双翼を顕現させ、


「奏夜、掴まってくれ!」
「悪い!」


再びクウガゴウラムにファイナルフォームライドしたクウガの足に、キバが掴まり、


「空の勝負ならコイツだ!」
【ATTACK.RIDE-JET.SLIGER!!】


地上に乗り捨ててあったマシンディケイダーを、Φを模した紋章が通過。
オールレンジホイールと五つものジェットエンジンを搭載した、銀色に輝く高性能バイクマシン――ジェットスライガーが、エンジンの噴射で滑空し、主であるディケイドの下へ飛んでいく。


「奏夜、シャナ! 一気に叩くぞ!」
「分かった!」
「おう!」


操縦席に乗り込み、ディケイドはパネルを操作。
ジェットスライガーのフロントが開き、二段重ねに搭載されたミサイル弾が、パネル上でイルヤンカをロックオンする。


「はぁ……ッ!!」


シャナの構える贄殿遮那の刀身が煌めき、紅蓮の奔流に包まれる。
全てを灰燼に帰すには十分な火力だ。


「バッシャーマグナム!! ア~ンド、バッシャー・バイト!!」


飛来したバッシャーマグナムにより、キバはバッシャーフォームへ。
キバットの魔皇力チャージにより発動した『バッシャーアクアトルネード』の水球が、銃口付近に生成される。


「ユウスケ、悪いが弾の反動は我慢してくれ!」
「俺は気にしないでいい、思いっきりやってやれ!」


掴まるクウガゴウラムの声援を受けながら、キバBFはトリガーに指をかけ、


『行けぇ!!』


バッシャーの魔力が込められた水球『バッシャーアクアトルネード』が放たれ、それに伴い、シャナの大太刀から特大の火炎流と、ディケイドのジェットスライガーから無数のミサイル弾が発射された。


イルヤンカは迫り来る脅威に対し、開いた口から並んだ牙を覗かせ、


「ッガハアアアア――――!!」



イルヤンカが吐き出したのは、蒸気にも似た鈍色の粉塵。
空中で広範囲に広がったそれは、三人の攻撃を阻むにはあまりにお粗末な代物に見える。


しかし、三人の攻撃が粉塵と接触した途端、豪快な衝突音と共に、水球は弾け、火炎は掻き消え、ミサイルは部品さえも残さず砕け散った。
その光景をジェットスライガー内から見ていたディケイドは、他三人の気持ちを代弁するかのように呟く。


「おいおい、ミサイルを弾く煙ってどんな煙だよ」
「アラストール、あれは?」
『“甲鉄竜”イルヤンカの持つ、最硬の防御力を誇る自在法、『幕瘴壁』だ』
「幕瘴壁……」


シャナの問いに対するアラストールの答えを、キバBFが復唱する。


『先のように拡散させれば無敵の防御壁に。集束させれば全てを貫く鋼の砲弾にも成り得る』
「攻守自在ってワケか……。遠距離がメインで、一撃のダメージが低いバッシャーフォームじゃ勝ち目ねーかもな」
「近距離で攻撃を入れていくしかなさそうね。反撃のリスクもあるけど、あっちはあの巨体だから、小回りの利くこっちの方が回避はし易い筈」
「だな。レティシアの方は援護に回ってるみたいだし」


クウガゴウラムの言う通り、レティシアは現段階で攻撃を仕掛けてきてはいない。
蘇生陣に使った魔皇力が回復していないのだろう。イルヤンカの力をメインに、自分は後衛にということか。


「俺も病み上がりなんだがな……ま、仕方ないか。門矢、シャナ、バラけて攻撃するぞ。固まってたら幕瘴壁の餌食だ」
「うん。奏夜、負傷中なのが分かってるなら、無茶しないでよ」
「油断して落とされるんじゃねぇぞ、お前ら」


キバBFがシニカルに言い放ったのを合図に、散った三人はそれぞれ別の方角からイルヤンカへと迫る。


(それにしても、なんて威圧感)


スピードの差から、最初にイルヤンカへ辿り着いたシャナは、改めてイルヤンカの強さを肌で感じ取る。
歴戦の中で磨き上げられた力は、例え操られた身であっても褪せることはない。


(でも、勝つ)


巨竜の正面近くに描かれた紅蓮の軌跡に、闘争心しか無かったはずのイルヤンカの瞳に、微かな感情の炎が灯った。


『炎髪灼眼の――討ち手……!』
「――久しいな。かつての好敵手よ」


紡がれた声に、アラストールは懐かしさと敬意を込めた言葉 だけを送る。
だが、その余韻も直ぐに戦いへと呑まれていく。


「斬る!」


瞬時に形成された巨大な炎剣が、イルヤンカの外皮に振り下ろされる。



「!!」


シャナの表情が驚愕に彩られる。
手加減なしの一撃にも関わらず、自身の炎剣は、イルヤンカの肌に僅かな傷と焦げ跡を残しただけだったからだ。


『離れろ!』
「っ!」


アラストールの声に反応し、ギリギリで回避行動を取ったシャナのすぐ傍を、イルヤンカの翼が掠めた。
巻き起こる爆風に踏みとどまり、シャナは再び距離を取る。


『油断するな。屍と言えど、あやつは大戦にその名を轟かせた強力な王だ』
「うん」


気を引き締め、シャナは紅蓮の翼を羽ばたかせる。
その下方、ディケイドはジェットスライガーを走らせ、攻撃の機を伺う。


(さっきのシャナの攻撃からして、コイツの外皮はかなり硬い。攻撃を加えるなら――)


やはり、この竜を操っている本人。
ジェットスライガーを浮上させ、イルヤンカの背中――レティシアをミサイルの射程圏に入れるディケイド。


「やはり私を狙いますか」


現れた銀色のマシンを見やり、レティシアは不敵な笑みを浮かべる。


「ですが――よもや私が、それを予想していなかったとお思いですか?」


レティシアはゆらりと、手を動かす。


―――ガガガガガッ!!


「なっ!?」


ディケイドの乗るジェットスライガーが、連なって襲い来る衝撃に揺れる。
レティシアもイルヤンカも、攻撃を加えてきた様子は無い。
だが現に、ジェットスライガーは見えない攻撃に火花を散らし始めている。


「クソッ!!」


せめて撃墜だけは避けなければ。
ディケイドは新たなカードをバックルに装填した。


【ATTACK.RIDE-HARD.TERPULAR!!】


ジェットスライガーをWの紋章が通過し、その機体を黒いフロント部分に、赤い安定翼とジェットエンジンを搭載したマシン――『ハードターピュラー』に変えた。
バイクの表面積が少なくなったことで、衝撃は止んだ。だが未だに、レティシアの攻撃はディケイドでも視認できない。


「ッバハア――!!」
「チィッ!!」


隙を突き、先刻の防御用ではない――煙を集束させた幕瘴壁の弾頭が、ハードターピュラーを狙う。


アクセルを入れ、幕瘴壁を緊急回避するディケイド。
そして見た。
避け際、先程まで自分がいた場所を幕瘴壁が通過すると、何か水泡のようなものが弾けたのを。


「しゃぼん玉……いや、そうか!」


ディケイドは気付く。
先の見えざる攻撃は、レティシアの魔皇力が籠もった、破壊力抜群のしゃぼん玉。
消えていたのは、恐らく光の三原色を利用していたからだ。



(三原色の赤、緑、青が交錯すれば、しゃぼん玉は無色となり、太陽光を反射する透明球と化す……!)


光を扱うカメラマンである彼の知識が解答を導き出すが、分かったところで対処のしようがない。


レティシアが先程手を動かしていたのを見ると、あのしゃぼん玉はある程度方向操作ができるとみていい。
これではレティシアへの攻撃も未然に防がれる。
アクアクラスのレティシアなら、魔皇力もそれほど消費せず、しゃぼん玉を生成できるだろう。


重厚なジェットスライガーを揺らす威力のしゃぼん玉なら、迂闊に割ることもできない(最悪、バイクから落ちてしまう)。
しかもその間に、幕瘴壁でのカウンターも考えられる。


「考えてやがるぜ、敵ながら」


当面は、ジェットスライガーより小回りの利くハードターピュラーで、突破口を見つけるしか――




「先生ーー!! 士さーーん!!」




『!!』


戦場に響く自分達を呼ぶ声に、ディケイドとバッシャーマグナムの弾丸を放っていたキバBFが、声のした方を振り返る。


「悠二!?」
「夏みかん?」


イルヤンカからやや離れた後方。
輝く翼で飛翔するキバーラと、彼女に抱えられた悠二に驚く二人。


「悠二、お前何しに……!」
「話は後です! 先生、これを!!」
「士くんも!」


悠二、キバーラが投げて寄越した何かを、キバBFとディケイドは器用にキャッチする。


「!! お前、これ……!」
「なんだ、新しいカードか?」


キバBFの掌には、黄金に輝くフエッスル。
ディケイドの手には、ファイナルアームライドのカード。
どちらも、戦局を変える切り札と成り得るものだ。


「海東さんが二人に渡してくれって!!」
「……ハッ、こそ泥が、粋なことするじゃねぇか!」


仮面の下で満面の笑みを浮かべながら、キバはバッシャーフォームを解除。
クウガゴウラムの足から背中によじ登る。


「ユウスケ、ちょっと背中借りるぜ」
「へ? 別にいいけど……何をするんだ?」
「なぁに、大したことじゃないさ。……寝ぼすけな友達を、ちょっくら起こしてやるだけだよ!」


イルヤンカを見据えながら、キバは金色のフエッスルを構える。


「キバット、頼むぜ!」
「おうよ! 久々の再会だぁ!!」


ベルトに留まるキバットも、キバと同じく歓喜の声を挙げた。
黄金のフエッスルをくわえ、キバットは高らかに覚醒の号令を吹き鳴らす!!





『タツロットォーー!!』





◆◆◆


――~~♪


「ねぇねぇおじいちゃん! こっちこっち!」


その頃の光写真館では、まるで何かを呼ぶかのように、絶え間ない音色が響き渡っていた。


「おお、彩香ちゃん。音の出所が分かったのかい?」
「うん、ホラ。あの鞄!」


栄次郎を引っ張る彩香が指差すのは、部屋の片隅に置かれた年代物の鞄。


「こりゃ大樹くんの鞄じゃないか」
「なんだろ? 携帯の着メロかなにかかな?」


どこか緊張感の無い二人は、心の中で海東に断りを入れつつ鞄の中を探り、この奇妙な音の出所を突き止める。


彩香が中から取り出したのは小さな小箱。
何故か鎖が幾重にも巻かれ、それこそ携帯電話のバイブの如く、音を鳴らしながら小刻みに震えている。


「この箱が出所っぽいねぇ」
「でもこの箱、鎖が巻き付けてあって外れないよ? どうやって止めたら――」


そう彩香が言い終えるか言い終わらない内に、小箱の震えは更に激しさを増し、鎖を引きちぎらんばかりに暴れ初めた。


「わぁっ!?」


突然の振動に驚いた彩香は、つい小箱を床に落としてしまった。


――ガッチャーーン!!


箱の『中身』の目覚めにより脆くなっていた封印の鎖は、落下の衝撃により粉々に砕け散る。
それとほぼ同時に、箱を構成する六面の板が吹き飛んだ。





「じゃっじゃ~ん!! 」





「おおっ!?」
「わわっ、竜だ! 金ピカの竜だ!」


彩香の言う通り、中から飛び出したのは、翼に銀色の二本角を持つ小さなドラゴンだった。


「ドラマチックに行きましょ~~う!!」


黄金の身体を歓喜に震わせ、魔皇竜『タツロット』は、自分を呼ぶ主の元へ飛び去っていく。




◆◆◆


「奏夜、なにぼんやりしてるのよ!」


クウガゴウラムの上に乗ったまま、急に動きを止めたキバをシャナが叱咤する。


「慌てるなシャナ」


だがキバは動じない。
威風堂々と、何かを待ち続けていた。


「そういや、お前にはまだ見せてなかったっけな。――俺の切り札を見せてやるよ」
「切り札? ちょっと、何のはな――」





「ビュンビュンビュンビュンビューーン!!」





ハイテンション極まりない甲高い声。
彼方から雲を掻き分け、猛スピードで接近してくる黄金の影。
キバとキバットにとっては見慣れた、しかし懐かしい親友の姿だ。


「タツロット!」
「タッちゃ~ん、こっちだこっち!」
「奏夜さぁ~ん、キバットさぁ~ん!!」


主と友達の元に到着したタツロットは、久方ぶりの再会に涙まで浮かべていた。


「久しぶりだなタッちゃん! 無事で何よりだ!」
「ううっ、本当にお久しぶりですぅ~! ずっと会えなくて寂しかったですよぉ~!」
「ああ、悪かったなタツロット。一人ぼっちにさせちまって」


よしよしとタツロットの頭を撫でるキバ。状況に着いていけないのは周りの面々だ。
キバの近くを浮遊していたシャナが、突然の乱入者であるタツロットをじっと見つめる。


「何なの、こいつ……金色の竜?」
「おんやぁ? なにやら知らない人がチラホラいますねぇ」
「話は後だ。タツロット、久しぶりに頼むぜ」
「おっとっと、そうでしたそうでした! ワタシの役割を忘れちゃいけませんね!」
「役割?」


シャナが首を傾げ、キバに何が起こるのかを見守る。


「そんじゃ、いっちょうキバッて――」
「テンション、フォルティッシモォーー――!!」


タツロットがキバの周囲を飛び回り、キバの肩当て――プテラプレートに巻き付いた封印の鎖『カテナ』を解き放つ。
鎖の外れた肩当ての隙間から零れた黄金の光が、無数の蝙蝠を型取り、空へと舞い上がっていく。
全ての準備が整ったキバが左腕を振り上げると、そこに装着された真紅のとまり木『パワールースト』に、タツロットが収まった。


――カチャリ!


タツロットによって鍵が回され、キバの力を封印していた最後の枷が遂に究極覚醒(ファイナルウェイクアップ)した。




「変・身!!」




キバの全身を、黄金の光の蝙蝠が飛び交い、その姿を『キバ本来の姿』に変えていく。
膝にはヘルズゲートの代わりに、クローを展開することによって強烈なニークラッシュを放つことができるルシファーメタル製のニーパッド、シルヴァ・ニークロー。
全身には魔皇力の影響で金色に染まったルシファーメタルにより、防御力を通常の5倍に跳ね上げたインペリアルアーマー。
宙、水、地の魔皇石を固定するヘルズマウントは、キバの強大な魔皇力を制御すべく右脚から移動し、身体の中心部に位置するヘルズブレストに変化している。
顔を覆う仮面は、並のファンガイアでは見ただけで戦意を喪失するとされる、キバ本来の禍々しき面構えを象徴したエンペラー・ペルソナに。
炎と共に背中に伸びた、血霞の如き真紅のマントを翻せば――変身完了。




――仮面ライダーキバ・エンペラーフォーム。




奏夜の持つ『黄金のキバ』本来の姿であり、封印された魔皇力を究極覚醒させた、キバの最強形態だ。


(――王)


傍目から見ていたシャナ、悠二にも、理屈抜きでそう思わせるほどの神々しく、気高い姿。
帰還せし王は自らの道を阻む者に、己の誇りを持って宣言する。


「断罪の牙の下、転生の輪廻に沈め!!」



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  1. 2012/05/31(木) 11:02:42|
  2. 仮面ライダーキバ/BLAZING.BLOOD
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