紅蓮の牙

二次創作中心。仮面ライダーキバと灼眼のシャナのクロスを連載中。

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第二十話・旅人/BLAZING.BLOODの世界.後篇

――小野寺ユウスケ達が、奏夜を拾う数十分前。紅邸で成された会話。

「じゃ、そんなわけでよろしく頼むわ」
「……ええ」
「なんだよ。不満そうだな」
「今の話のどこに、わたしを満足させる要素があったのかしらね」
「でも、引き受けてくれただろ」
「『これは主からの命令だ』なんて宣言しといてよく言えるわね。これじゃ、わたしに選択肢無いじゃない」
「ははは」
「笑い事じゃないわよ。まったく……」
「そう嫌な目で見ないでくれよ。キバットがいない今、頼れるのはお前だけなんだよ」
「シャナちゃんや名護さんは?」
「……正直な話、今回の敵はヤバそうなんでな。できるなら、俺一人で片付けたいんだよ」
「そう。……ねぇ、一ついいかしら?」
「なんだよ」
「あなた、自棄になってないわよね?」

「………」
「正直、不安なのよ。あなたはお兄ちゃんが捕らわれた途端、真っ先に私を頼ってきた。
簡単にそういう決断ができるのは、あなたがもう“自分の時間”を諦めてるってことなのかもって思ったから」
「……考え過ぎだよ」
「どうかしら? その割には、わたしとお兄ちゃん、タッちゃんとクイーン以外には話してないわよね。
――“あなたの時間”のこと」
「話す意味もないだろ。どうにもならないんだし」
「それ、本気で言ってる?」
「だから嫌な目すんなって。――今、キバの力を失うわけにはいかないんだ。わかってくれるだろ」
「ええ。理解はしてるし、力も貸してあげるわ。けど、絶対に納得はしないわよ」
「冷たいねぇ。ま、力の方だけはちゃんと貸してくれよ。んじゃ、そういうことでよろしく」




「……本ッ当にバカ。バレバレな嘘なんかつくんじゃないわよ」


◆◆◆


「あの門矢士って男、ただの人間じゃない」


ブランコに腰掛けるシャナが、いつもの無表情のまま告げた。


突如現れた謎の教師、門矢士。
彼が生徒達に強烈な印象を植え付けた日の帰り。
悠二はシャナに連れられ、市内某所の公園に来ていた。
御崎市では比較的広い公園だが、中途半端な時間だからか、人影はまばらである。


「士先生が? 僕は何も感じなかったけど」


連れてこられた矢先にそんなことを言われても、悠二としては混乱するばかりである。


『うむ、貴様の『零時迷子』による感覚は、常時働いているわけではないからな。無理もあるまい』


アラストールが話し終わるのを待ち、シャナが続ける。


「私達が感じたのも、殆ど勘に頼った違和感だけど、門矢士には何かある。これだけは確かだと思うわ」
「勘って……なんかシャナ達らしくないな。一体全体、士先生は何者なんだ?ファンガイアや“徒”の類なのか」


推論を立てるにしても、論理的な組み立てをするシャナが、自分の“勘”を信じるということは、それだけ得体の知れない相手ということか。


『違う。ただの人間ではないのは間違いないが、貴様達の定義する『人間』の範囲からは出てはおらぬ』
「えっ、じゃあ……?」


アラストールの意外な答えを、シャナが補足する。


「私達にもはっきりした言葉で、あの男の違和感は語れない。 それでも敢えて言うなら――あの男は、“世界から拒絶”されているの」
「世界から、拒絶?」
「光も、景色も、人でさえも、あの男を本格的に拒絶してる。まるで“歩く封絶”だわ」
「……そんな人間が、いるのか?」
「普通なら有り得ない。――だからこそ、あの男は異常なの」


シャナの口調には、明確な畏怖が込められていた。
彼女の見解をもってしても――門矢士の存在は、認知可能なレベルを超えているらしい。


「……士先生が、普通じゃないのは分かったよ。それで、具体的に僕らはどうすればいいんだ?」
「今のところ、向こうの出方次第ね。フリアグネの時みたく、あの男が何を企んでるか分かってる訳じゃないし……」




「士は何もしやしないよ。自分の瞳に、世界を写すだけさ」




『!!』


突然、いた。
シャナも悠二も、アラストールでさえ、声が発せられるまで、その男の気配に気が付けなかった、


「やあ、はじめまして。そこのお嬢ちゃんが『炎髪灼眼の討ち手』かな?」


遅れながらも、警戒の視線を向けるシャナ達に対し、青年は爽やかな笑みを浮かべる。


歳は二十代前半。
ライトブラウンのジャケットにジーンズを履き、やや横跳ねした髪型をしていた。


「やれやれ、“あのキバ”と会わないように姿を隠してたんだけど……やっぱりダメだね。どんなリスクも、お宝の魅力の前じゃ無意味だ」
「お前、何? 門矢士の仲間?」


困ったように頬を掻く青年に、シャナはそれだけを尋ねる。


「仲間、か。そう言われればそうかもね。君達の言う仲間とは、ちょっと違うかも知れないけど。――ま、君達には関係無い話さ」


青年は指先をピストルに見立てると、シャナ目掛けてバン、と撃つ真似をする。


「無駄話をしてる暇は無いから、単刀直入に言うよ。君の持つ宝具、『贄殿遮那』を僕に渡してくれないかい?」
「何ですって?」


シャナの目が見開かれる。
“愛染兄妹”の時を思い出す状況だった。


「僕は、様々な世界のお宝を集めていてね。史上最悪のミステス“天目一個”が残した名刀なら、僕が盗むに相応しいお宝だ。本当なら、そこの“ミステス”君の中身も戴きたいところだけど……」


悠二の肩が跳ね、シャナが悠二を庇うように立つ。


「でも、それはいいや。後味も悪くなりそうだし。というわけで、その代わりに贄殿遮那をくれ♪」
「――っ、誰が渡すか!」


シャナの瞳と髪が紅蓮に染まり、夜傘から取り出された贄殿遮那が、彼女の手に収まる。


「封絶!」


指先を天に掲げ、半円形の紅いドームが周囲を覆う。
しかし、青年は停止することなく、ただ感嘆するだけだ。


「ふーん。これが封絶ってやつか。 ちょうどいいや、邪魔が入らないなら、それに越したことはないしね」


シャナを相手にして、余裕の風格を漂わせる青年に、悠二は再び問う。


「あんた、一体何者なんだ?」


悠二の問いに、青年――海東大樹は不適に笑い、謎の戦士が描かれたカードを取り出した。




「そうだね。強いて挙げるなら、通りすがりの仮面ライダーってところかな?」




シアンにカラーリングされた銃器――ディエンドライバー側面のライドリーダーに、カードを装填。
ポンプアクションの要領で、銃をスライドさせる。


【KAMEN.RIDE】


紋章が浮かび上がったディエンドライバーを、海東はゆっくりと上空に向けた。




「変身!!」




声を張り上げ、トリガーを引く。


【DI-END!!】


発砲音と電子音が流れ、ディエンドライバーの銃口から、数枚のプレートが空中に打ち上げられる。
海東の身体に、幾重にも重なった虚像が、強化服、ディヴァインスーツとディヴァインアーマーへ。
落下してきた次元通行手形、ライドプレートが頭部に突き刺さり、鎧の色がシアンへと染まり、変身完了。




――仮面ライダーディエンド。
世界を旅するトレジャーハンター、海東大樹が変身し、複数の仮面ライダーの力を操る戦士だ。


「変わった?」
「ディエンドだって……?」


シャナ達の反応に、ディエンドは仮面の下で薄く笑い、彼女達へと銃口を向ける。


「さあ、贄殿遮那争奪戦の始まりだ!」


開戦の狼煙を上げるように、ディエンドライバーが火を吹いた。


◆◆◆

シャナとディエンドが戦う公園は、それなりに広い。
入り口も東側と西側に別れ、シャナ達がいるのは東側。
――そして、西側の噴水広場に、門矢士の姿はあった。


「……?」


噴水の縁に腰掛けていた士が、ふと顔を上げる。


「先生、どうかしました?」
「いや、なんでもねぇ」


まさか、反対側の広場で戦いの火花が散っているとは露知らず、士は首に下げた二眼レフカメラから、ファインダーに景色を収め、シャッターを切る。


――その傍らには何故か、吉田、佐藤、田中の姿もあった。


「で、なんでお前らがここにいるんだ?」
「成り行きですよ成り行き。帰る方向が同じだったんだし、先生に付き添うくらい構わないでしょ?」


佐藤の言葉には無論、門矢士への単純な興味、というのもあった。
口には出さないが、吉田と田中も同じである。


――案の定、というか何というか、門矢士の授業は滅茶苦茶だった。
一例として、士が授業で語った内容を拾ってみると、『目玉が右にあるのがカレイで、左にあるのがヒラメだ』だの、『身体が大きめで鼻先が尖っているのがアフリカ象、身体が小さめで鼻先が丸いのがインド象だ』等。


挙げ句『向かって左がマナ、右がカナだ』という十代には無理がありそうな知識(というかトリビア)を披露していた。


「そう言えば門矢先生、あの見分け方って一人しかいない時はどうするんですか?」
「………」


吉田のド直球な指摘に、士は一瞬沈黙し、


「おお、ここの噴水はなかなか良いデザインをしているな」


誰が見てもわかる誤魔化しに、三人は溜め息をついた。


「この辺り、奏夜先生そっくりだよな」
「奏夜先生?」


田中の呟いた名前に、奏夜はカメラを弄る手を止めた。


「誰だそりゃ?」
「うちのクラス本来の担任で、簡単に言えば生粋の常識ブレイカーです」
「田中くん、それはちょっと言い過ぎ……」


否定しつつも、吉田の声には力がない。
内心、常識ブレイカーは否定できないのだろう。その様子に苦笑しつつ、佐藤が続ける。


「だから俺達も、士先生がああいう風にクラスを纏めてくれて、ちょっと安心してるんですよ。
変にクラスの雰囲気が変わらずに済みましたから」
「ほう。あの内容でも、お前らにとっちゃ普通扱いか」


一応、滅茶苦茶な授業内容という自覚はあったらしい。


「俺と気が合いそうだな。その奏夜ってやつは」
「気が合いそう……ああ、確かにそんな気がしますね」


主に俺様な部分が。と佐藤は思ったが言わなかった。
田中も同意見だったが、やはりここでもフォローに回るのは吉田だ。

「でも先生、いつも破天荒なわけじゃないんですよ?他人の悩み事をすぐ理解しちゃうし、豪快な性格かと思ったら、バイオリンが趣味だったりして……」
「待て」


吉田が“バイオリン”という単語を口にした途端、士が彼女の言葉を遮った。


「その奏夜って男、名字は何だ?」
「えっ? “紅”ですけど……」


雰囲気の変わった士に戸惑いながら、吉田は答える。
しかし、士は彼女の様子に構っている暇は無かった。


(キバの世界で、“紅”の姓を持ち、バイオリン弾きだと?)


今まで巡った二つのキバの世界。
その際の経験と照らし合わせると、この符合は偶然とは思えなかった。


「お前ら、その奏夜ってやつのこと、もう少し詳しく……」


と、士が口を開いた時だった。




――ガァアアンッ!


『うわっ!』
「きゃっ!」


大気を震わす轟音と、巻き上げられた硝煙。
佐藤、田中、吉田は顔を伏せ、士はさすがと言うべきか、即座に、自分達へ敵意を向けてきた相手を捕捉する。


「グルル……!!」


羊を彷彿とさせる、ステンドグラスの意匠が成された羽毛。
ライフエナジーを喰らう獣、シープファンガイアだ。


「ふん、ファンガイアか」


士が発した単語に、彼の後ろにいる三人は少なからず驚く。


「か、門矢先生……ファンガイアのこと、知って……?」
「そういうお前達も、完全に堅気ってわけじゃなさそうだな」


言いながら、士は吉田にカメラを放る。危うい手付きながら、彼女はしっかりそれをキャッチした。


「それ持って下がってろ。さっさと片付けてやる」
「えっ、ちょ、士先生!」
「どうする気ですか! あんなの生身の人間が適う相手じゃ……」


佐藤と田中が止めるのも聞かないまま、士はどこからともなく、白いバックルを取り出した。


どこかカメラを彷彿とさせるデザインのそれを、士は腰の中央に当てる。
サイドから伸びた帯がバックルを固定すると、士はサイドハンドルを引き、バックル部分を回転。


ベルト脇に付けられた無限ホルダー『ライドブッカー』から一枚、謎の戦士が描かれたカードを引き抜き、手前に構える。




「変身!!」




カードを反転させ、バックルに装填。


【KAMEN.RIDE】


無機質な電子音と共に、士はサイドハンドルを押し込み、再びバックルを回転させた。


【DECADE!!】


ディケイドライバー内部に備え付けられた未知の鉱石『トリックスター』が輝くと、周囲に現れた十の幻影が士と重なり、ディヴァインスーツとディヴァインアーマーを形成。
次元通行手形であるライドプレートが頭部に突き刺さり、ボディが一瞬でマゼンダカラーに染まった。




――仮面ライダーディケイド。
士が変身し、全ての仮面ライダーの系譜を継ぐ存在にして“世界の破壊者”と呼ばれる姿だ。


「か、門矢先生が……」
「変わった……?」
「ディケイドだって……?」


三人が唖然とする中、ディケイドは、パンパンと両手を払うように叩き、シープファンガイアへ向かっていく。


「ギィィィ!!」


突如現れたイレギュラーにも動じず、シープファンガイアは手に装備したショットガンのトリガーを引く。


「フン!!」


ディケイドはライドブッカーを取り外し、ガンモードへ移行。
流れるような動作で、シープファンガイアの弾丸を撃ち落とした。
すぐ様ディケイドは反撃に転じ、ディケイドライバーにカードを装填する。


【ATTACK.RIDE-BLAST!!】


マゼンダの光弾が連なって放たれ、シープファンガイアの外皮を撃ち抜く。


「ガッ!!」


威力に押され、シープファンガイアはショットガンを取り落とした。


だが、武器無し、手負いとなったシープファンガイアだったが、まだ全ての手が封じられたわけではない。


「フッ!!」


地に伏していたシープファンガイアが立ち上がり、突如として姿を消した――否、よく見れば眼の端々に、高速で動き回る影がある。


「あのナリで高速移動か――っと!?」


シープファンガイアの特攻を紙一重で避けるディケイド。
なんとか回避には追いつけるが、この反撃できないのでは持久力が枯渇するだけだ。


「羊の癖にちょこまかと……いいだろう、本当の速さってヤツを見せてやる!」


ディケイドはまた新たに、ライドブッカーからカードを取り出す。描かれているのは、紅いカブトムシを模した戦士。


【KAMEN.RIDE-KABUTO!!】


緑色の六角形が身体中を覆い、ディケイドの姿は赤く雄々しい角と甲殻を持つ戦士――仮面ライダーカブトに変わる。
Dカブトは高速移動する影を睨みながら、また新たなカードをライドブッカーから引き抜く。

【ATTACK.RIDE-CLOCK.UP!!】


カブトの世界のライダーが持つ高速移動技術『クロックアップ』。
その速さは、端から見る吉田達三人を置き去りにし、一瞬でシープファンガイアのスピードに追い付いた。


「ハッ!!」



シープファンガイアの速さにぴったり張り付きつつ、ライドブッカーをソードモードへ切り替え、斬りつけていく。


「ギッ!?」


斬撃の火花が弾け、シープファンガイアは高速移動の世界から叩き出され、再び地を這う。


「これでトドメだ」


Dカブトはディケイドの姿へ戻り、ディケイドの紋章が描かれた黄色いカードを、ディケイドライバーへスロットした。


【FINAL.ATTACK.RIDE-DE.DE.DE.DECADE!!】


ディケイドとシープファンガイアの直線上に、十枚の巨大なカードが浮かび上がる。
飛び上がったディケイドが右足を突き出しながら、十枚のカードを通過していく。




「ハァァァ―――ッ!!」




「ギィ、ガァアア!」


ディケイドの必殺技『ディメンジョンキック』が炸裂し、シープファンガイアを粉々に粉砕した。


――圧倒的な強さと、爆炎の中に立つその姿はまさしく、破壊者と呼ぶに相応しいものだった。


◆◆◆


【ATTACK.RIDE-BLAST!!】


ディエンドライバーから発射されたシアンの光弾を、シャナの贄殿遮那の剣閃で弾く。


「シャナ!」
「悠二、下がってて!!」


悠二を下がらせ、シャナは足裏で爆ぜた紅蓮の炎を推進力に、ディエンドとの間合いを一気に詰める。


「はぁっ!!」
「やるね」


神速の刃を、ディエンドは銃身の腹で、贄殿遮那を受け止める。
だが、そこまではシャナの想定範囲内だ。


「ッ燃えろぉ!!」


阻まれた刃からディエンド目掛け、紅蓮の奔流が零距離で放射された。


「何っ!?」


慌ててディエンドは、刀から銃身を離すが、それこそがシャナの狙いだった。
直ぐ様刀を引き、紅蓮の炎を剣先に一点集中させ、ディエンドの身体へと刺突する。


「おっと!」


構え直されたディエンドライバーが火を吹き、刀の軌道をズラす。その隙にディエンドは、再び距離を取る。


「仕留め損なった」
「飛び道具主体のスタイルだな。遠距離では分が悪い、距離を詰めていけ」
「うん」


緊張の糸を張り直すシャナとアラストール。片やディエンドは、今にも小躍りせん勢いで、目の前のお宝が持つ力に酔っていた。


「素晴らしい! 絶対手に入れるよ、その力をね!」


言いながらディエンドは、ベルトサイドのホルダーから、二枚のカードを新たに装填する。


【KAMEN.RIDE-ACCEL!!】
【KAMEN.RIDE-TOUKI!!】


「行け!!」


ディエンドがトリガーを引くと、重なった七色のシルエットから、二人の戦士が姿を表した。


ヘルメットを模した仮面に、バイクの意匠を凝らした紅い装甲を持つ戦士――仮面ライダーアクセル。
大柄な体躯と白熊のような毛皮を持ち、この季節にも負けない凄まじい冷気を放つ鬼の戦士――仮面ライダー凍鬼。


「さぁ……、振り切るぜ!!」


アクセルが地面に刺さったエンジンブレードを振り上げ、


「仏のもとへ還れ!!」


鳴刀・音叉剣を携えた凍鬼が吠え、シャナに襲いかかる。


「なっ、こいつらどこから……!?」
『考察は後だ、来るぞ!!』


突如として出現した二体の仮面ライダー。
シャナにとって、いい状況ではなかった。


二体とも剣を使っている為、剣技に自身のあるシャナとしては、1対1ならまだ賞賛はある。
だが、アクセルも凍鬼も大柄で、パワーならシャナよりも上。持久戦になれば、勝機は薄い。
次第にシャナは、アクセルと凍鬼に押され出していた。
彼女が凍鬼に気を取られた隙に、アクセルはガイアメモリを、エンジンブレードのマキシマムスロットへ挿入する。


【ENGINE!! MAXIMUM.DRIVE!!】


「絶望がお前の、ゴールだ!!」


Aの形を模した衝撃波『エースラッシャー』がシャナ目掛けて飛んだ。


「っ!!」


すんでのところで反応し、凍鬼から距離を取ろうとする。
しかしそれよりも早く、


「邪鬼退散!」


凍鬼の口元から、凄まじい冷気が放出された。
噴射されたそれは、大気の温度を急激に冷やし、シャナの足元を氷付けにし、彼女の機動力を奪う。


「! しまっ……」


アクセルと凍鬼の連携により、回避行動を取れぬまま、放たれたエースラッシャーの衝撃波が、シャナに牙を剥いた。


「ぐ、あっ!!」


どうにか、刀は間に挟めたものの、それで相殺できるほど、甘い攻撃ではない。
足元の氷が砕けたと同時に、シャナは後方へ吹っ飛ばされた。


「素晴らしい反応だ。でも、ちょっと遅かったかな?」
「くっ……!」


ディエンドを睨み付ける瞳にも、疲労の色が濃い。
ディエンドは一片の容赦もなく、自らの紋章が描かれたカードを、ライドリーダーに装填する。


【FINAL.ATTACK.RIDE-DI.DI.DI.DIEND!!】


ディエンドライバーの銃口の先に、幾つものライダーカードが、シアンカラーのエネルギーとなって円環状に並ぶ。


『う、あぁぁぁ!!』


アクセルと凍鬼もまた、カードの螺旋に吸い込まれていく。
同時にディエンドは、地に伏すシャナへ狙いを定めた。


「手加減はしよう。耐えられるかはキミ次第だ」


呟くと同時に、ディエンドがトリガーを引く。
カードに眠る力を解放して放つ砲撃『ディメンジョンシュート』が、先のエースラッシャーとは比較にならないパワーで、シャナへと発射された。


「シャ――」


悠二が叫んだ気がしたが、シャナにはよく聞こえなかった。
夜傘をせめてもの防御に回し、シャナは襲い来る衝撃に目を閉じた。


◆◆◆


「ザンバット!!」
『イ・ク・サ・カ・リ・バ・ー・ラ・イ・ズ・ア・ッ・プ』


シャナを庇うかの如く、彼女の前に二人の人影が立つ。


掛け声と電子音が轟くと同時に、人影が持つザンバットソードとイクサカリバーの刀身が輝く。
魔皇力と光子力の光が弾け、ディメンジョンブラストのエネルギーを真っ二つに切り裂いた。


「なっ!」


これにはさすがのディエンドも驚いたのか、自分の技を切り裂いた相手の姿を見やる。


「ふぅ、間一髪だったな」
「大丈夫か。シャナ君、悠二君」
「奏夜、啓介……」


シャナの眼前に立っていたのは、ザンバットソードを携えた奏夜と、名護が変身するイクサだった。
シャナ、そして悠二の容体を確認し、奏夜はディエンドを睨む。
――奏夜に似つかわしくない、心に宿る負の感情を総動員したような、冷たい視線だった。


「ファンガイアの気配が消えたと思った矢先、新しい気配を感じ取ったと思えば……どうやら、キバットとは違う『探し物』を見つけちまったらしいな」
「……ちぇっ、キミと会う前に、贄殿遮那を戴きたかったんだけどねぇ」
「つれないな。俺はお前に会いたくて会いたくて仕方なかったぜ?」


シャナと悠二は、ディエンドの拗ねたような言い回しと、奏夜の怒りを孕みながらも親しげな口調に、違和感を覚えた。


「先生、あいつを知ってるんですか?」
「知り合いってほどでもねぇよ。ただの加害者と被害者だ」


悠二の質問を適当にあしらいつつ、奏夜は警戒の目線を送り続ける。
――と、そこへ声が割り込んできた。


「海東!!」
「大樹さん!!」



奏夜と名護を追いかけてきた、ユウスケ、夏海、彩香の三人だ。


「やぁ小野寺君。こんなところで何をしてるんだい?」
「それはこっちのセリフだ!! アンタこそ、そんな女の子に銃を向けて何やってるんだよ!」
「人聞きが悪いなぁ。お宝の為にはやむを得ないし、なるべく穏便に済まそうと努力はしたよ?」
「まず相手のものを奪うこと自体ダメなんですよ!」
「そーだそーだ、立派な犯罪だぞ大樹!」


三者三様の抗議を、素知らぬ顔で受け流すディエンド。
乱入者三人を、端から見るシャナと悠二は、信じられない顔で見ていた。


「シャナ。あの人達、封絶の中で動いてるぞ?」
「……そんなハズない。封絶は機能してるし、あいつらは確かに人間よ。悠二も分かるでしょう?」


反論するシャナだったが、現にこうしてユウスケ達は動きを止めてはいない。
ミステスでも“徒”でもない存在が、何故。


「アンタらも、この男の知り合いだったんだな」
「あ。いや、知り合いというか、腐れ縁というか……」


反応に困ったユウスケに一瞥をくれ、奏夜は視線を外した。


「まぁ、それはどうでもいいことか。……名護さん、シャナと悠二をお願いします」
「なっ、待ちなさい奏夜君! 今のキミはキバの鎧を……」


イクサの制止も聞かぬままに、奏夜はシャナと悠二を任せ、ディエンドと対峙する。


「最初に言っておく。お前が俺から奪ったものを返せ。そうすれば見逃してやらんこともない」
「出来ない相談だね。返せと言われてハイそうですかと渡すくらいなら、最初から盗みはしないさ」
「成る程。そりゃコソ泥側からすれば道理だな。なら……」


奏夜の内から、封じられていた魔皇力が噴き出す。
シャナ、名護、悠二は勿論のこと、ユウスケ達三人もまた、目の前にいる男から放たれる圧力に気圧されていた。


「ユウスケ、やっぱりあの人が……」
「うん。間違いない」


ユウスケと夏海は、奏夜が持つ力をもって、疑念を確信に変えていた。


「タツロットは力づくで奪い返させて貰うぞ、海東大樹!!」


言いながら、奏夜は腕をゆっくりと手前に掲げた。


「キバーラ!!」
「キャハハハ、行っくわよ~♪」


奏夜の呼び声に応えたのは、彼普段の相棒ではなく、その相棒の妹である白い蝙蝠――キバーラ。


飛来したキバーラは、奏夜の人差し指を小さな牙で甘噛みした。


「か~ぷっ♪」


指の先端からステンドグラスの紋様が広がったと共に、奏夜はキバーラを突き出し、叫ぶ。



「変身!!」




キバーラの頭部から放たれた紅いスペード型のウェーブが、奏夜の身体を覆っていき、ガラスとなって弾け飛んだ。
――その姿に一番早く、そして最も驚いたのが、光夏海だった。


「あ、紅い、キバーラ……?」


そう。奏夜が変身したのは、夏海が変身する戦士、仮面ライダーキバーラだった。
ただ、彼女の変身した姿とは異なり、やや身体つきが男性に近くなり、鎧の白かった部分は、血に染まったかのような赤色である。


「断罪の牙の下、転生の輪廻に沈め!」


専用武器キバーラサーベルと、ザンバットソードの二本を携え――仮面ライダーRキバーラは降臨した。


◆◆◆

ライダーデータ

仮面ライダーRキバーラ
キバーラの力を借り、奏夜が変身した姿。彼本人の魔皇力が反映され、鎧の白かった部分が紅く染まっている。
光夏海の場合、キバーラ自身の魔皇力を用いて変身するが、Rキバーラの場合、奏夜本人の魔皇力をキバーラが覚醒(ウェイクアップ)させることで変身する為、変身の際に、キバーラが噛み付くというプロセスが加えられた。
二人分の魔皇力+奏夜の実戦経験が相成って、光夏海のキバーラよりも更に強力なっている。
フォームチェンジこそ出来ないが、アームズモンスターやザンバットソードを呼び寄せることも可能。
ただし『黄金のキバ』よりも魔皇力消費が激しく、変身を長期間保てないという弱点があり、持久力では光夏海のキバーラに劣っている。
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  1. 2012/04/18(水) 16:35:15|
  2. 仮面ライダーキバ/BLAZING.BLOOD
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まとめteみた.【第二十話・旅人/BLAZING.BLOODの世界.後篇】

――小野寺ユウスケ達が、奏夜を拾う数十分前。紅邸で成された会話。「じゃ、そんなわけでよろしく頼むわ「……ええ」「なんだよ。不満そうだな」「今の話のどこに、わたしを満足さ...
  1. 2012/04/18(水) 16:45:41 |
  2. まとめwoネタ速suru
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